ショートショートの玉手箱

ショートショートや短編小説を書きます。ときどきエッセイも。 中の人: 都内在住の会社員。大体三十歳。

2017-09-07から1日間の記事一覧

杜子春(芥川龍之介『杜子春』より)

一 ある春の日暮れです。 花の都・東京のひと気のない公園で、ぼんやり空を仰いでいる、一人の男がおりました。 名は俊春といって、年は三十をようやく数えたところでしたが、見た目は随分老けて見えます。というのも、元は会社の跡取りだったのが、父親の不…